NPOひろしま骨髄バンク設立趣意書

 命の贈り物をあげる。骨髄バンクの役割を、われわれはこう呼んでいます。見知らぬだれかのために、思い切って勇気をふるう。その無償の精神(行為)は、これまでの日本にはあまりなかったボランティアのかたちです。

 骨髄バンクとは、不治の病とされた白血病などの血液疾患の根治治療のために開発された「骨髄移植」を仲介するシステムです。
 健康な人の骨髄液を患者に注入し、血液をつくる細胞をよみがえらせる仕組みで、そのためには白血球の型の一致が不可欠です。しかし、親子では適合する確率はほとんどなく、兄弟姉妹でも四分の一。そのため、肉親の間で一致しなかった患者は、偶然一致するかもしれない他人に頼るしかありません。
 ドナー(提供者)をあらかじめ登録し、移植を希望する患者へ橋渡しするのが骨髄バンク。先進国の米国などに続き、日本では平成4年(1992年)から骨髄移植推進財団(東京都新宿区)が全国の日赤血液センターと協力して、ドナー・患者双方の登録を始めました。しかし、ドナーには数日間入院し、全身痲酔を受けるなど重い負担がかかります。われわれは、正しく骨髄バンクを理解していただき、一人でも多くの患者への移植を実現させようと、財団と協力して啓発活動を進めています。

 われわれの活動のはじまりは、昭和六十三年(1988年)にさかのぼります。広島市内のある白血病患者の男性に骨髄移植を受けさせようと、会社の同僚たちがドナー探しに立ち上がった小さな運動がきっかけでした。その男性は不幸にして亡くなりましたが、同じ立場の患者家族たちにその思いは受け継がれ、そして心やさしい多くの市民や関係者たちが懸命にそれを支え、骨髄バンクの設立を国に求める運動につながりました。そして、財団の発足に合わせ、現在のひろしま骨髄バンク支援連絡会に衣替えし、ボランティアの輪を広げながら、現在に至っています。
 われわれはこれまでに、広島県内でさまざまな活動を行っています。県の委託事業として、骨髄バンク理解セミナーの開催、そして企業・学校・地域への「出前講座」、ドナー経験者の体験談集の編集などが中心です。なかでも骨髄移植の実際を知るドナー体験者の協力は大きな力になっています。昨年(1998年)にはドナー経験を積極的に語っていくためのドナーの「同窓会」も発足しました。

 しかし、ここで手をゆるめるわけにはいきません。昨年(1998年)、骨髄バンクは、当初の目標だったドナー登録者十万人を達成しました。広島県内でも目標の二千三百人は越えています。とはいえ、実際には患者の三分の一にまだドナー候補者が見つかっていません。さらに、最近の遺伝子レベルの研究で、移植成績を高めるためには三十万人の登録者が将来的には必要だとされています。
 また、新しい動きとして、新生児のへその緒から採取した血液に含まれる造血細胞を、主に小児白血病の患者に移植する「さい帯血バンク」の設立の動きも全国的に広がっています。中四国でも医師グループによってバンクが発足し、本格的なスタートに向けて準備が進んでいます。われわれは、骨髄バンクと車の両輪の役割を果たすと期待されているさい帯血バンクなども、支援していくことにしています。

 これらの目的を達するため、われわれは本法人を設立することと致しました。


1999年1月20日
ひろしま骨髄バンク支援連絡会
会長 宇田 誠